都市部に偏りがちな税金を地方にも配分する目的で始まった「ふるさと納税」だが、気づけば、いかにお得な返礼品をもらえるかということばかりが話題になった。経営コンサルタントの大前研一氏が、現在のふるさと納税における問題点を指摘する。
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「ふるさと納税制度」の見直しをめぐる波紋が広がっている。その発端は、過熱する返礼品競争を問題視した総務省が、返礼品を「調達価格が寄付額の3割以下」の「地場産品」に限るよう求める通知を各自治体に出し、通知を受け入れない自治体は制度の対象から外す方針を示したこと。これに対し、自治体や消費者から賛否両論が渦巻いているのだ。
たとえば、調達価格が高い地場産品以外の返礼品を取り揃え、2017年度の寄付額で全国トップの135億3300万円を集めた大阪府泉佐野市は、総務省の見直し要求を「なぜ3割なのか明確な根拠がなく、何をもって地場産品とするのか曖昧だ。一方的な条件を押しつけている」と反発した。
また、時事通信が10月に実施した世論調査によると、「返礼品は自治体の裁量に任せればよく、制度を見直す必要はない」という回答が46.8%で最も多く、「制度を見直し、国が返礼品を規制すべきだ」は31.9%、「制度は廃止すべきだ」は13.8%だった。
世論調査では少数派だが、私はふるさと納税制度は即刻廃止すべきだと考えている。なぜなら、本誌『週刊ポスト』連載や単行本『君は憲法第8章を読んだか』などでたびたび批判してきたように、この制度は“さもしくてセコい日本人”を生む歪んだ制度だからである。