今から10年以上前、韓国企業が日本から高額で技術者を引き抜いていると、盛んに報じられていたが、今度は韓国企業から中国企業へと人材が流出する時代となったようだ。
韓国メディアの朝鮮日報によれば、サムスン電子の半導体メモリー設計に関する部門における常務クラス責任者が今年の夏、中国国有半導体企業に転職したが、この中国企業は過去2年の間に、韓国から開発のコアとなる人材50名以上を獲得したと報じている。
彼らは韓国の半導体企業を退職した技術者たちの名簿を持っており、そこからピンポイントで人材をピックアップし、倍の年収、5年間の雇用期間を保障、自家用車、住居手当を支給するなど破格の条件で招聘しているという。サムスン電子の関係者によれば、現時点で技術が漏洩したというはっきりとした証拠は見られないとしているが、技術は確実に人とともに伝わるとして、警戒感を露わにしている。
韓国メディアが焦る背景には、中国と韓国の技術差が急速に縮まっているといった現実がある。韓国現代経済研究院が昨年発表した研究報告によれば、韓国国家戦略に関して120の技術領域があるが、それらに関して、韓国、中国間の技術差を分析すると、2014年には1.4年であったが、2017年には1.0年にまで短縮されたと発表している。
全米科学財団のデータによれば、2016年における半導体産業の付加価値額トップは中国で1200億ドルであった。第2位はアメリカで829億ドル、第3位は台湾で556億ドル、第4位は韓国で390億ドル、第5位は日本で321億ドルである。
中国の半導体産業の付加価値規模は韓国の3倍を超えている。量では到底かなわない以上、質で優位性を保てなければ厳しい。韓国にとって半導体産業は支柱産業である。半導体産業の衰退は、国家の衰退に直結してしまう。