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認知症気味の父に偽物骨董品を買わせた店に責任を問えるか?

売買代金の返金を求めることはできるか?(イメージ)

売買代金の返金を求めることはできるか?(イメージ)

 日本人の平均寿命は男女とも80歳を超え、世界でもトップレベルだが、大きな課題になっているのが認知症。近い将来、国内の認知症患者数が1000万人に達するという予測もある。認知症になれば判断力が鈍ることも起こり得るが、認知症気味の高齢者に高額な偽物骨董品を売りつけた場合、店側に何らの責任を取らせることはできるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 認知症気味の父の持ち物を整理していたところ、大量の骨董品が出てきました。調子のよい日に父に問い質すと、近所の骨董店から売りつけられたとのこと。専門家が調べた結果、どれも偽物だと判明。父の認知症につけこみ、高額で売りつけたのなら許せません。どうすれば、店に返金請求できますか。

【回答】
 認知症気味とのことですが、損得の判断はできるものと仮定します。まず、お父さんが何を買うつもりだったのかが問題です。骨董品とは、一般的に希少価値のある年月を経た絵や書などの美術品、あるいは古道具で、真贋の判断が困難な場合もあります。しかし、新しい物を古く見せかけた物や箱書などで表示されている作者の作品ではないことが明らかな骨董品であれば偽物です。

 もっとも、模造刀でも欲しい人がいるように、その物を模造と承知した上で気に入って買う場合などのように、真偽を問題にしない場合もあり得ます。そこでまず、お父さんが何を買うつもりだったかが重要になってくるのですが、認知症では、はっきりしたことはいえないと思います。その場合、買い取った金額が参考になります。

 模造品にしては高額で、本物であることを前提とした金額だと、模造品を買う目的であったとはいえません。こうした点が証明されれば、お父さんは偽物を掴まされたといえそうです。結果、骨董店に騙されたということになりますが、騙せば詐欺になりますから、店はそう簡単には認めないでしょう。

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