国が一定期間に生み出したモノやサービスの付加価値の合計であるGDP(国内総生産)。内閣府がさまざまな経済データを基に算出し、確定したデータである確報値を毎年12月に発表している。
この確報値とは別に、短期的な景気動向を判断するため、内閣府は3か月(=四半期)ごとに速報値と改定値を発表している。1-3月期の速報値であれば、通例、期末の1か月半後の5月半ばに発表され、改定値はさらにその約1か月後に発表されている(正式には、速報値は「第一次速報」、改定値は「第二次速報」と呼ばれている)。
GDPの速報値は、短期的な景気判断をすることが目的であるため、文字通り速報性が重視されているのだが、その結果、改定値および確報値と大きく数字が食い違うことがある。最近では、2015年7-9月期の実質GDPは、速報値では前期比マイナス0.2%、年率換算ではマイナス0.8%だったが、改定値では前期比プラス0.3%、年率換算ではプラス1.0%となり、大きく上方修正された。さらに、改定値が確報値で変わることも珍しくはない。
なぜ、速報値と改定値、確報値が違ってくるのか。その主因は、それぞれを算出する段階で、算出の基となるデータの精度が異なっているからだ。例えば、財務省が発表している法人企業統計は、GDPを算出する上で重要な統計データのひとつだが、四半期ごとの法人企業統計は、仮決算をデータとして計上している企業が少なくない。改定値、確報値と進むにつれて、本決算のデータが計上されていき、データの精度が高くなっていく。そのたびに、GDPが修正されていくのは、当然ともいえるだろう。
GDPは株式市場や為替市場で注目されている経済指標だ。事前の予想と異なる数字が発表されれば、株式市場や為替市場は大きく動く。そのため、正確なデータを求める声は内外で高まっている。