株を売る場合、自ら保有する現物株を売る「実注文」と証券会社などから株を借りて売る「空売り」があり、それらを合わせた1日の売り注文に占める空売り注文の割合を「空売り比率」という。これは東京証券取引所が日々集計し、ホームページでも「空売り集計」として公表されている。
一般的に、空売り比率が30%を超えてくると「売られすぎ」と見られて相場はボトムアウト、逆に20%を下回ってくると「買われすぎ」と見られて相場はピークアウトする目安とされる。そもそも空売りは株を借りて売るため、いずれは買い戻さなくてはならない。特に制度信用取引(証券取引所が選定した銘柄で、他に各証券会社が独自に定めた銘柄で取引する一般信用取引もある)は6か月以内に買い戻す必要がある。つまり空売り比率が高いということは、今後、ショートカバー(空売りの買い戻し)が入りやすく、将来的な買い圧力になると考えられるためだ。
まして空売りしている投資家は株価が下がれば利益を上げられるが、思い通りに下がらず、逆に株価が上昇してしまえば損失は膨らむ一方。そこで損切り覚悟で買い戻す動きが高まることで上昇する相場を「踏み上げ相場」と呼ぶ。
実際、2015年の上海株急落に端を発した株安局面では8月から9月にかけて空売り比率は40%超えという過去最高を記録し、その後、株価は反発。2016年初からの株安局面でも40%超えが8営業日連続で続くなど過去最高水準での空売り比率が続いたことから、今後の反発を期待する見方もある。