会社勤めの人にとってはあまり馴染みのない「確定申告」だが、税金を取り戻す絶好の機会となる。まず医療費だ。年間10万円を超えた分から税金の還付を受けられるが、確定申告が必要になる。範囲は、病院や薬局に支払う手術代や入院費、薬代に留まらない。
虫歯治療費や仮歯代のほか、未成年の歯科矯正費用、市販の痛み止めや風邪薬、包帯などの医療品、通院にかかったタクシー代や、生活習慣病の治療目的で通ったスポーツジム費用なども含まれる(諸条件あり)。
同一家計の家族の分は合算できるので、10万円は決して届かない額ではない。定年後世代では、以前は会社が年末調整で還付手続きをしてくれた社会保険料の税金還付をもらい損ねているケースもある。
公的年金の受給額が年間400万円以下の場合、確定申告は不要とされているため、「自分はしなくていい」と思い込んでいる人も多い。必要な書類は会社員時代と同じで保険会社から送られてくる控除証明書などだ。
確定申告期間は毎年2月中旬から約1か月間。医療費控除を受けるには、支払い先の名称などを明細書に書き込んでいくといった作業があり、直前にまとめてやると負担も大きくなってしまう。年末の大掃除で申請に必要な領収書などを間違って処分してしまう恐れもあるので今すぐ作業を進めておきたい。
※週刊ポスト2018年11月30日号