11月27日、日本取引所グループ(JPX)の、清田瞭CEO(最高経営責任者)が、社内規則に違反して「インフラファンド」に1億5000万円もの投資をしていたことが発覚、30日には清田氏の減俸処分も発表された。清田氏本人は社内規則で投資が許されているETF(上場投資信託)と勘違いしていたというが、この「インフラファンド」とは何なのか。
インフラファンドは、太陽光発電設備などの再生可能エネルギー資産に投資するファンドだ。2016年6月に上場したタカラレーベン・インフラ投資法人(9281)が第1号で、現在5銘柄が上場しており、すべて太陽光発電を投資対象としている。
ファンドが太陽光設備を運営する会社に賃貸し、その賃料収入を投資家に配当するしくみで、ファンド自体は上場株式やETFと同様、証券会社を通じて株式市場で売買できる。不動産のテナント収入を投資家に分配するREIT(不動産投資信託)によく似た仕組みだ。
太陽光発電の買取価格は年々引き下げされているので、その収益性を心配する投資家が多いのだが、買取価格は太陽光設備が認定を受けた年から20年間固定されている。引き下げられているのは、新しく認定される設備の価格であり、すでにインフラファンドが保有している太陽光発電設備の売電価格は下がらないわけだ。
このためインフラファンドはREITと同様に高配当を狙う金融商品として密かな人気を集めていたが、最近はREIT価格が上昇しインフラファンドが下落傾向にあるので、インフラファンドの利回りの魅力が相対的にアップしている。清田CEOが保有していたのはタカラレーベン・インフラ投資法人(9281)とカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)の2銘柄と報じられているが、前者は6.4%、後者は7.5%という驚きの高利回りだ(12月3日終値と2019年の予想分配金で計算)。
清田CEOは問題の発覚を受けてこれらの保有銘柄を速やかに売却し、利益相当額の全額約2000万円を日本赤十字社に寄付する意向を示しているというが、取引所のトップが投資したいと思った金融商品だけに、今回のニュースをきっかけに配当狙いに興味のある個人投資家からさらなる注目が集まるかもしれない。ちなみにインフラファンドは1口10万円程度で投資可能だ。
文■森田悦子(ファイナンシャルプランナー/ライター)