異動や転職は自分にとっては心機一転のタイミングとはなるが、むしろ大切にすべきはその組織に残る人々である。ビジネスにおいて「立つ鳥跡を濁さず」がいかに大事かを、元広告代理店勤務で現在はフリーのネットニュース編集者・中川淳一郎氏が解説する。
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フェイスブックやBCCの一斉送信メールでよく転職の報告を見ることがありますが、大抵の場合、いかに円満退社で古巣に感謝をしているか、ということがアツく語られています。しかしながら時々、裏事情を周囲から聞かされてそのメールの内容に一部虚偽が混じっていたりすることもあります。
某メーカーを退職したA氏は“自分は快く見送られた”と強調していましたが、同社に残った人からは苦言を呈されていました。
「最後までモメにモメてさ……。自分のこれまでやった仕事の成果がすべて自分のものであると主張し、本来は会社に帰属すべきリサーチの資料などをすべて持って行こうとしたんだよ……。送迎会も開いてもらえないぐらい周囲は怒っていた」
また、情報サービス関連企業を退職したB氏は、上司と口論になり啖呵を切って退職をしました。そして、年収が下がるのを覚悟のうえで同業他社に転職しました。同業他社なだけに業界内でも転職先でもこのキレっぷりは伝わってしまい、「居場所がないんですよね……」と嘆いていました。そして「あそこでキレなければこんなことにはなっていなかった……。元の会社に残っていれば給料も高かったのに……」とも言います。