テレビの影響力が落ちて久しいと言われる昨今だが、いまだにテレビ番組で「エゴマ油を摂取すると痩せる」と紹介されたところ各地のスーパーやネット通販で売り切れが相次ぐなどその影響力は計り知れない。また、今年は「ハズキルーペ」のCMが大いに話題となるなどCMの影響力も再び見直されている。平成が終わりを迎えようとする中、博報堂出身のネットニュース編集者である中川淳一郎氏が、「平成を彩ったCM」について振り返る。
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いやぁ~、ハズキルーペのCM最高っすよ! 久々にCMが脚光を浴びる結果になったので、このCMを考えた同社の松村謙三会長の発想力には脱帽です。私は今では編集者になってしまいましたが、元々はコピーライターになりたいな、ウヒヒ、みたいなことも考えていたわけで、広告は好きです。というわけで、私自身の思い出とも紐付いた「平成を彩ったCM」を勝手に10個挙げてみます。
【1】ポリンキー(湖池屋)
「バザールデゴザール」や「ドンタコス」等でも知られる佐藤雅彦さんによるCMです。「ポリンキー劇場」として、三角形のスナック菓子であるポリンキーのキャラが歌を歌いながら踊る。「ポリンキー、ポリンキー、三角形の秘密はね…」とか「ポリンキー、ポリンキー、10%増量中」などとやって最後に「値段は元のまま、ジャン」と締める。とにかく歌が頭に残るという意味では秀逸なものでした。また、佐藤さんが作っているということがよく分かる時点でCMにも「作家性」ってあるんだな、と思います。
【2】あいさつの魔法(AC)
2011年3月11日の東日本大震災の発生直後、各企業はCMを自粛しました。すでに枠は押さえている場合は、AC(公共広告機構)のCMに差し替えられることが多いです。もちろんACにしないという選択もありますが、当時は仁科亜希子さん・仁美さん親子のがん検診啓蒙CMと「ポポポポーン」で知られる「あいさつの魔法」CMが大量に流れました。このCMを見ると「震災を思い出してしまう」という声はあったものの、「ポポポポーン」は2011年の「ネット流行語大賞」を取るほど流行ったことばになりました。しかしながら「あいさつは大事なこと」というメッセージはその通りだと思います。私も妙に「ポポポポーン」が好きになってしまい、誰かと飲む時は両手でハイタッチをし「ポポポポーン」と未だにやっております。