確定申告をする際、非常に重要な意味を持つのが「必要経費が否か?」ということ。経費を申告することにより、所得を減らし、税金を減らすことが可能となる。かつて、外れ馬券が必要経費と認められるかどうかで争われた裁判は、テレビや雑誌で大きく報じられたが、パチスロで負けた多額のお金は必要経費として認められるだろうか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
以前に外れ馬券を必要経費と認めるかどうかの裁判がありました。結果的に認められたようですが、実は私、パチスロ・ライターを目指しており、毎日のようにホールに通い詰め、試し打ちなど勉強に励んでいます。例えば、そこで負けた多額の費用も、必要経費として認められる可能性はあると思いますか。
【回答】
当たり馬券収入が一時所得か、雑所得かが問題になり、雑所得になる場合、外れ馬券が経費になるのか争われた判例があります。一時所得とは、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の(不労)所得」をいい、馬券や懸賞の当たり金などが含まれます。一時所得では、当該の当たり馬券の購入代金のような直接的な費用は経費になり、それ以外は認められません。
裁判所は、ネットで競馬情報を収集分析し、偶然性を排除するため、馬券の種類や額も独自の計算式で決定して、パソコンソフトで自動的に毎週土日ごとの全レースについて個々の馬券の的中に着目せず、網羅的に多数回、かつ頻繁にした馬券購入で得た当たり馬券の払戻金につき、外れ馬券が経費になると判断しました。