日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)は、日本の株式市場の動きを知る代表的な指数だ。これら既存の指数に加えて、『JPX日経インデックス400』と呼ばれる新しい指数が注目を集めている。
JPX日経インデックス400は、日経平均株価やTOPIXの欠点を補う役割も期待されている。たとえば日経平均株価は、3000以上ある上場企業の中から代表的な企業として抽出された225銘柄を平均した指数だが、単純平均であるため株価が高い「値がさ株」の影響を受けやすい。構成比率の20%を占めるファーストリテイリング、ファナック、ソフトバンクの上位3銘柄の値動きだけで指数が大きく変動してしまい、必ずしも日本の株式市場全体の動向を反映しているとはいえないのだ。
一方、TOPIXは東証の全銘柄が対象なので、市場全体の動向を反映しやすいうえ、幅広い分散投資も可能になる。しかし、赤字企業など投資に適さない銘柄も組み入れざるを得ないため、TOPIXに連動する投資信託やETF(上場投資信託)を買うとこうした企業にも投資することになってしまうのだ。
これに対し、JPX日経インデックス400は過去3年間の「営業利益の合計」と、どのぐらい効率的に利益を上げられたかを示す指標である「ROE(自己資本利益率)」、「時価総額」の3つの指標で、成績の良い400銘柄を抽出している。赤字企業や問題のある企業は排除し、投資魅力の高い優良銘柄だけで構成された指数といえる。
ROEは東証の売買代金の半分以上を占める外国人投資家が重要視する指標であり、彼らが投資してくることも期待できる。また、120兆円超の運用資産を持つ国内最大の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、運用のベンチマークとして採用したほか、日本銀行も金融緩和策のひとつとしてJPX日経インデックス400に連動するETFの買い入れをスタートしている。
ただし、指数の組み入れの基準となるのは過去3年の業績であり、将来の予想などは含まれない。要するに過去の業績が良い銘柄群には違いないが、将来を先取りして動く株価の上昇に直結するわけではないので過信は禁物だ。
指数を構成する400の銘柄は毎年8月に入れ替えが行なわれる。基準から外れた銘柄は除外され、代わりに新たに基準を満たした銘柄が組み入れられるので、このタイミングの前後で除外銘柄の急落や新規組み入れ銘柄の急騰といった値動きも予想される。