「人生100年時代を生き抜くにはこれまでの老後の常識を捨て、発想を転換する必要があります」──そう語るのは「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏である。
「人生80年の時代は年金でせいぜい15年間を乗り切ればよかったから、『子供に老後の迷惑をかけないようにしよう』と考える人がほとんどでした。しかし、人生100年になれば、子供の世代も70歳になってくる。『迷惑をかけない』ではなく、場合によっては親子2代で老後の計画を考えることも必要になってきます」
老後の資金計画は65~80歳の15年間ではなく「30年計画」で考えておかなければならない。
自宅を売却してホームに入るか、それとも建て替えやリフォームをするのか。リフォームローンの組み方から保険の選び方、相続の備え方も2世代を軸にすると選択肢が変わる。
「息子はマンションを買ったから」と自宅を夫婦2人用にダウンサイジングして建て替えたところ、「2世帯住宅にリフォームして、リタイアしたら一緒に住もうと思っていたのに」と息子に嘆かれる――そんなすれ違いも考えられる。