お嬢様学校、お嬢様大学を出て外資系金融勤務の夫と結婚し、麻布妻となったライターの高木希美氏の周囲には、多くのお坊ちゃま、お嬢様がいる。ツイッターで1億円を配ったZOZOの前澤友作社長には驚かされたが、では、生まれながらのお金持ちの金銭感覚はどうなっているのか。高木氏がリポートする、「ある社長令嬢の場合」──。
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いわゆるお嬢様系の中学校や高校に行くと、予備校や他校の文化祭に行ったりして、有名私立の人たちと知り合いになります。それが大人になった今でもFacebookでつながっていて、その人たちの生活が垣間見えます。慶應幼稚舎出身の幸喜くん(仮名、以下同)が起業したとか、麻布の誠くんが仕事でロンドンに住み始めたとか、白百合の舞ちゃんがハワイで結婚式を挙げたとか、商社勤務で香港駐在していた早稲田の圭くんが帰国したとか、桜蔭出身の美人女医が出産してワーママになったとか。みんな、若干の自慢を交えてそんな投稿をします。
Facebookはそういう場なので見ているこちらも慣れていますが、慶應幼稚舎出身の社長令嬢、サツキさんは違います。わかりやすい自慢げな投稿はしません。周囲を見ると、生まれながらにしてお金持ちの人は、Facebookで「何を買った」とか「どこに行った(ビジネスクラスの写真付き)」といった投稿はしないように思います。
実家が老舗メーカーの彼女、お金の遣い方は昔から“伝説”がいくつもありました。
大学生の頃は、何人かで渋谷の109に行った時にあるお店で「これかわいい!」と言ったと思えば、一つのショーケースに並んでいた10着以上を一気買い。もちろん値札は見ていませんでした。お会計は10万円くらいでしたが、気にせずカードで払ってから、一言。
「これかわいいから色違いで買ったけど、着ないかな? ま、いっか。部屋着にしよう」
あるときは、60万円ほどのシャネルのバッグを3色“色ち買い”(注・色違いで買うこと)し、「かわいすぎてもったいないから多分使わないけど、見てるだけで楽しいし~」と言って周囲を驚かせていました。
身近なことで言えば、コンビニではまったアイスを30個くらい買い占めて、タクシーで帰ったことも。友人同士で遊んだ帰りは「タクシー一緒に乗って行かない?」というのが彼女のスタイルで、近所の友達を送ってから迂回して自宅に帰っていました。
そんなサツキさんを含め3人の友人とFacebookで連絡を取って久しぶりに会い、あらためて彼女の金銭感覚に驚きました。エステの話になり、最近流行している温熱で痩身効果のあると言われるお店について話題が及ぶと、「それって高い? やろうかな」とサツキさんが興味を持ったのです。