都内に住む58歳男性は、一人暮らしの母親を介護施設に入所させたのを機に母の預金口座を管理することになり、通帳にお金の出入りを記帳して驚いた。4年前に亡くなった父親が契約していたネットの有料サイトの代金がずっと引き落とされていたからだ。
これは夫婦で1つの口座を管理し、そこに携帯料金やクレジットカードなどの引き落としをまとめていた場合に起きやすい。
クレジットカードやネットの有料サイトなどの会費は、契約者が死亡しても自動的に解約にはならない。解約手続きが行なわれるまでは会費は取られ、原則、返金もされない。
会費が本人名義の口座から引き落とされる場合は、銀行に死亡届を提出して口座が凍結されると、とりあえずそれ以上の引き落としはできなくなる。しかし、家族が知らない“隠し口座”で決済していたり、前述の男性のように亡くなった父親の契約を母親の口座から支払っていた場合は“死後も会費を取られ続ける”という事態になってしまう。行政書士法人「優総合事務所」代表行政書士の東優氏が指摘する。
「誤解が多いようですが、故人の銀行口座が凍結されて引き落としができなくなったからといって、クレジットカードの解約にはなりません。あくまでも相続人による解約手続きが必要です。とくにクレカでの購入代金やカードローンの残債が残っているケースでは、相続人が支払い義務を負うことになります。
従って、未然にトラブルを回避するためにも、生前にカードの利用状況や引き落とし口座などの情報は妻や息子など同居している家族に伝えておくか、エンディングノートなどに書いておくことをお勧めします」