働けば働くほど年金が減らされる「在職老齢年金」の制度ほど高齢者にとって腹立たしいものはない。
60~64歳の場合、支給停止のボーダーラインは月の収入28万円。フルタイムでバリバリ働いて月収40万円、特別支給の厚生年金が11万円であれば、ボーダーラインを22万円上回り、その半額の11万円の年金を減額されて年金は「全額支給停止」となる(65歳以降のボーダーラインは46万円)。
社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの拝野洋子氏の元には、比較的高給取りの在職老齢年金受給者から「こんなに年金を減らされないようになんとかならないか」という相談が来るという。
年金カットを防ぐためには2つの方法がある。
「年金と給料の合計がボーダーラインを少し上回っている人であれば、雇用延長後の勤務時間を減らすことでギリギリ年金を減らされない金額に給料を抑える。ただし、収入が多い人がこれをやると、年金カットされないために総収入が大きく減ってしまうことになるから向きません」(同前)
では、収入を減らさずに年金カットも防ぐ方法はないのか。
「年金の受給開始前に、会社に相談して仕事の独立性や休日休暇の管理など業務内容を見直し、業務請け負い契約を結ぶ。そうできればフリーランス(自営業)となるので、厚生年金に加入せずに仕事ができるし、いくら稼いでも年金はカットされません」(同前)
※週刊ポスト2019年2月1日号