FOMC(連邦公開市場委員会)、雇用統計発表と、立て続けに大きなイベントがあったアメリカ株市場とドル円相場。NYダウは2019年に入ってからの勢いをそのままに上昇を続け、今回のイベントでより弾みをつけた格好だ。一方、ドル円相場はFOMCには円高方向へと振れたが、雇用統計の発表後には、再び、円安方向へと戻した。はたして今後、アメリカ株式市場とドル円相場はどう動くのか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
* * *
政府機関の閉鎖等により、発表そのものが心配されていたアメリカの1月度雇用統計が2月1日に発表されました。事前の予想では、16万5000人の増加とされていた非農業部門の雇用者数は30万4000人増加し、2018年2月以来の大幅な伸びとなりました。
労働者が増えているということは、アメリカ経済の成長は底堅さを見せているということです。
ただ一方で、12月度の数値は9万人下方修正され、22.2万人と発表されました。そのため失業率は0.1%悪化して、久しぶりに3.9%から4%になってしまいました。ここには、長期にわたる政府機関の閉鎖の影響も出ているかもしれません。
また、時給の平均は前年同月と比べて3.2%上昇し、堅調な伸びとなりましたがその伸びは鈍化してきています。
アメリカと中国で繰り広げられていた貿易摩擦の影響で中国経済が減速し、アメリカ企業への悪影響が出始めています。ただ、雇用に関しては、今のところ堅調な伸びが続いているといえるでしょう。
今回の雇用統計の発表をうけて、アメリカの株式市場は大きく上昇しました。今年に入ってから、NYダウも右肩上がりに推移しています。アメリカの株式市場は引き続き好調が続くのではないかと予想されます。
雇用統計の発表の直前となる1月29・30日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)後に発表された会見の中では、政策金利の利上げに対して、「忍耐強くある姿勢」が示されました。その結果、当面は金利の利上げが期待できないとされて、ドルは売られ、ドル円相場は109円を割り込みました。