老後の命綱である「年金」は、受給者である国民一人ひとりが“オーダーメイド”で受け取り始める時期を決められる。それを知らずに生活しているなら、非常に“もったいない”ことになりかねない。
都内在住の武田さん夫婦(夫67才、妻66才)は、近所でも有名な「現役夫婦」だ。
「夫は62才の時、それまでずっと勤めてきた産業機械の専門商社を退職しました。でも、“おれはまだ家に引っ込むほど老けてないぞ”なんて言いながら、それまでの人脈とキャリアを生かして、コンサル会社を立ち上げました。“社長だ”なんて威張ってますが、年収はサラリーマン時代の半分以下ですよ(笑い)」(妻の千賀子さん)
それでも、毎朝スーツを着込んで、得意先に出かけていく姿は頼もしい。年収は300万円ほどだという。千賀子さんが続ける。
「私も建築関係の会社で経理のパートを続けています。子供が独立してからなので、かれこれ25年ぐらい経ちます」
60代後半の武田さん夫婦は、年金を受給している。ただ、年金は専用の銀行口座に寝かせたままで、一切、手をつけていないという。
「家のローンも終わってますし、退職金もまだ充分にあります。だいぶん減ったとはいえ、夫婦ふたりで慎ましく生活できるほどの収入はありますから、年金に頼らなくても何とかやっていけています」(千賀子さん)