現役時代ほど収入を得られるわけではない中で、定年後の夫婦の年金生活を豊かにするにはどうすればよいか。カギを握るのは妻の年金だ。妻の年金受給開始を65歳より遅らせる「繰り下げ受給」で割増し年金をもらうか、逆に、金額が減っても60歳から受け取ることができる「繰り上げ受給」を選ぶか。夫婦の年金計画はこの選択で大きく変わってくる。ケーススタディで見ていく。
【ケース1】「姉さん女房」なら妻だけ繰り下げ
年上の妻が65歳になった時、夫は現役か、雇用延長でバリバリ働く“準現役”の年代だ。夫の給料で生活できるなら、妻はすぐ年金をもらうのではなく、繰り下げで年金額を増やした方が将来的に楽になる。繰り上げ期間は「年齢差」に合わせるのがコツ。
妻が2歳年上なら、妻が67歳、夫65歳で一緒に年金をもらえば、妻の年金は16.8%割り増しされ、3歳差なら25.2%増になるうえ、妻の得する年金の「振替加算」もしっかりもらえる。
【ケース2】「共働き」夫婦は妻の部分繰り下げが有効
フルタイムで共働きを続けてきた夫婦の場合、定年後も互いに雇用延長などで働くケースが増えてくると予想される。2人とも嘱託や契約社員で収入は20万円程度に下がったとしても、ダブルインカムなら当面、生活費の心配はないはずだ。65歳過ぎても働こうと考えているなら、受給開始時期の選択肢は広い。