今年10月に予定されている消費税2%アップによる影響は計り知れない。特に定期的な収入がなくなる、あるいは大きく減る年金受給世代は、10月からの支出増によって思い描く“リタイア後”の修正を余儀なくされるケースも出てくるだろう。だが、対抗手段はある。世帯全員が住民税非課税世帯の場合は、最高で「年額6万円」の『年金生活者支援給付金』が狙えるが、一方で住民税の課税世帯が年金の手取りを増やすには「確定申告」が有効だ。
年金収入が400万円以下の場合「確定申告は不要」とされている。年金生活者の中には申告しないケースも多い。
自分と妻の医療費、扶養している母親の入院費など申告すれば課税所得を減らせるにもかかわらず、「取られている税金が少ないから申告しても還付金はたかが知れている」と考えてはいないだろうか。
しかし、戻ってくるのは税金だけではない。
「確定申告をすれば医療費控除などで課税所得を圧縮できる。その結果、所得税の還付だけではなく、翌年は年金から天引きされる国民健康保険料や介護保険料が下がり、年間2万~3万円手取りが増えたケースは珍しくありません」(税理士)
消費増税で始まる「ポイント還元」制度も見逃せない。
日用品や食料品の買い物にクレジットカードを利用して、5%還元される中小店舗で購入すれば、増税による値上げ分(2%)より多いポイントが付与される。総務省の家計調査によると、65歳以上の年金生活世帯(無職)の1か月の消費支出は約24万円。ポイント還元対象の食品や衣服費、教養娯楽費などが10万円を超える。ポイントで3%得をすれば、年間3万円以上が浮く。小さくない金額だろう。
※週刊ポスト2019年3月8日号