今年10月の消費税10%への引き上げは、年金生活者には大きなダメージだ。“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏は、「物価が増税幅と同じ2%上昇すれば、夫婦で毎月の年金収入が22万円(夫16万円、妻6万円)のモデル世帯では、可処分所得が約5万2800円目減りします。だからこそ、7か月後に迫った増税に備え、年金だけで生活する人も、働きながら年金をもらう人も、今のうちから対策を打っておかなければなりません」と警鐘を鳴らす。
だが、来たるその日に向けて怯えてばかりいる必要はない。給付金などの制度をフル活用すれば、増税で目減りする2%の年金を取り戻すどころか、家計をプラスに転じさせることさえできるのだ。
働きながら年金をもらう人の場合、消費増税に対抗する“得する給付金”の種類は多い。
60代前半に受給できるのが「高年齢雇用継続基本給付金」(以下、雇用継続給付金)と「高年齢再就職給付金」(以下、再就職給付金)だ。どちらも定年後も働く人への所得補填の性格を持ち、前者は失業保険を受けずに60歳以降も働く人、後者は失業保険を受けた後に再び働き始めた人に支払われる。
給付金の金額の基準も同じだ。60歳時点の賃金から新賃金が75%未満になった場合に、最大で新賃金の15%が受け取れる。仮に、60歳時点の30万円から18万円(現役の60%)に下がると、新賃金の15%にあたる2万7000円が支給される。