銀行や信用金庫など金融機関の多くは、退職金の獲得をめざして様々な特典を盛り込んだ『退職金専用定期預金』を用意している。
最大のメリットは金利優遇だ。預入期間が1~6か月と短い代わりに、その間は0.5~1.5%と一般的な定期預金の50~150倍前後の金利がつくケースもある。
開設は「退職後1年以内」という条件がつくケースが多く、原則として、預入期間が過ぎると一般の定期預金と同じ金利に変更される。
だが、一度退職金専用定期の預入期間が終わっても、「旨味」を享受する方法もある。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が解説する。
「最初に預け入れた口座の高金利期間が終了したら、別の退職金専用定期に預金を移し替えれば、新たに高金利の優遇を得ることができます。
1年以内なら他の銀行に預け替えられるので、退職から1年を迎える直前に6か月の退職金専用定期を組めば、高金利期間を1年半近くまで延ばすことができます」
ただし注意点もある。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの和田雅彦氏が指摘する。
「退職金専用定期の中には、短期間の高金利をメリットに謳いながら、投資信託を購入することを口座開設の条件とするものがあります。資産を増やせるチャンスでもある一方、投資対象によっては元本割れのリスクもあります。そういったリスクや手数料を含めた慎重な判断が必要です」
※週刊ポスト2019年4月5日号