投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が4月8日~4月12日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は底堅い展開か。世界的な景気腰折れへの懸念は多少和らいでおり、リスク回避的なドル売り・円買いはやや縮小する見込み。米連邦準備制度理事会(FRB)の慎重姿勢が示されても、リスク選好的な円売りがただちに縮小する可能性は低いと予想される。
直近発表の中国の経済指標はまずまず良好だったことから、同国の景気減速懸念は後退しており、ドル・円相場はドル高方向に振れやすい見通し。4月第2週は中国の3月消費者物価指数(CPI)と3月生産者物価指数(PPI)、12日には3月貿易収支が発表される。これらの経済指標が市場予想を大きく下回ることがなければ、円売り基調は続く見込み。また、4月3日から再開された閣僚レベルの米中貿易交渉で、トランプ政権は最終合意を模索しており、期待感による円売りも見込まれる。
ただ、最近発表された米国の経済指標は強弱まちまちであり、10日発表予定の3月消費者物価指数でインフレ率が鈍化した場合、金利先高観のさらなる後退が予想されることから、ドル売り材料となりそうだ。同日は米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(3月開催分)も公表される。金利引き上げについてFOMCメンバーから慎重な意見が多く出ていた場合、年内利上げなしの可能性は高まり、リスク選好的なドル買いは入りづらいだろう。
【米・3月消費者物価コア指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の3月消費者物価コア指数(コアCPI)は前年比+2.1%と予想されており、物価上昇率は2月実績と同水準になる公算。米金融当局はハト派的な政策スタンスを示しており、想定通りならドル買いは限定的となろう。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(10日公表予定)
10日(日本時間11日午前3時)公表予定の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(3月19-20日)は、ハト派姿勢の度合いが注目される。金利引き上げについて極めて慎重であることが判明した場合、長期金利は低下し、ドル売りを誘発しよう。