定年後に「どれだけ稼いでも年金減額されない」ようにするには、「厚生年金に加入しない働き方」をすることが重要だ。そうすれば、年金を早くから受給して得することができるからだ。そのためのポイントは何か。ファイナンシャル・プランナーの大沼恵美子氏はこう解説する。
「独立・開業して元の会社と業務委託契約を結ぶ際、交渉を有利に運ぶ決め手の一つが、『資格』です」
都内の電気工事会社に長年勤めた63歳の男性は、60歳の定年時に勤務先との間で、特別支給の「老齢厚生年金」が受け取れる年齢(62歳)まで雇用を延長し、受給開始後は個人事業主として仕事を受注する契約を交わした。それにより、在職老齢年金によるカットを免れる働き方を実現したのだ。
この男性が「“武器”になった」と振り返るのは、在職時に取得した【1】第三種電気主任技術者(電験三種)という国家資格だ。
オフィスビルや大規模マンションでは法令上、電気設備の運転管理や点検作業に有資格者の立ち会いが求められる。工事が重なる時期に貴重な戦力となることから、この男性の申し出を、会社も快諾したという。
「資格の取得とともに、現役時代からの得意分野で、知識や人脈を最大限活用する考え方が大切です。再雇用や再就職でも同じで、定年前のキャリアを活かして収入が増えれば、仕事への意欲も湧く好循環が生まれます」(前出・大沼氏)