中国企業によるベトナムへの直接投資が活発になってきた。ベトナム政府の発表によれば、2019年1-3月期の対内直接投資(認可額)は前年同期と比べ86.2%増加し、108億ドルとなった。これは1-3月期としては2016年以来の高水準である。
新規のプロジェクト投資が急増しており、分野別では加工・製造業が全体の8割近くを占める。また、国・地域別では香港がトップで44億ドル、全体の41%を占め、以下シンガポールが14億6000万ドルで14%、韓国が13億ドルで12%、中国が10億ドルで9%、日本が7億ドルで6%を占める。
香港からの直接投資は中国企業による迂回投資が多いとみられる。香港、中国を合計したものが中国企業による直接投資の額だとすれば、全体の対内直接投資の内、中国企業が約半分を占めることになる。
2018年の対内直接投資額(認可額)は354億7000万ドルだが、日本がトップで86億ドル、全体の24%を占めた。以下、韓国、シンガポール、香港、中国の順であったことを考慮すれば、足元では、香港、中国からの急増が目立つ。ただ、2018年に関しても、香港、中国を合計すれば、56億9000万ドルで韓国に次いで第3位と、決して少ないわけではない。
中国メディア(証券時報)によれば、2008年以降、中国A株上場企業の内、60社余りがベトナム関連の投資を行っており、2017年から2018年にかけては20社近くが、関連投資に関する公告を行っている。
例えば、繊維関連では、綿織物に強みを持つ華孚時尚(002042、深センA株)、綿糸、ニット生地メーカーの天虹紡績(02678、香港)、高級シャツ用先染め生地大手の魯泰紡織(000726、深センA株)ユニクロ、ZARA、H&Mを主要顧客とする繊維メーカーの百隆東方(601339、上海A株)などが大型投資を行っている。