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令和の年金改悪 まずは「繰り下げ幅拡大」から始まる

 改元と同時に「令和の年金改革」が始まる。今年は5年に1度の年金財政検証の年で、改元後の6月頃、厚労省が100年先までの年金財政の見通しを発表する。

「将来、こんなに財源が足りなくなる」という試算を国民に示し、年金カットや保険料増額、支給開始年齢引き上げなどの叩き台にするものだ。

 振り返ると、「平成の年金改革」は団塊世代がターゲットだった。人口が多い団塊世代が60歳になる前に、年金支給開始年齢が65歳へと段階的に引き上げられ、本来もらえるはずだった60歳からの基礎年金を失った。それ以降の世代は軒並み年金を大きく減らされた。

「令和の改革」のメインターゲットは団塊ジュニア(1971~1974年生まれ)だと考えられる。現在48歳(1971年生まれ)の団塊ジュニアから年金70歳支給になるように、支給開始年齢を68歳→70歳→75歳へと段階的に引き上げる。それに合わせて、「すでに年金をもらっている世代」の受給額を減らす様々な“改革案”が用意されている。

「額面」と「手取り」が全然違う

 その手始めに導入されるのが「75歳選択受給」だ。現在の制度は、年金受給を60~70歳の間で選択することが可能で、60歳から繰り上げ受給すると年金額は30%減額、逆に、最大70歳まで繰り下げると42%割り増しの年金をもらえる。

 その繰り下げ年齢を、さらに75歳まで遅らせることができるようにする。社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。

「現行の割増率で計算した場合、75歳まで繰り下げると年金は84%増になりますが、これを100%増(2倍)にしたらどうかという議論まである。“プレミアム”がつくことは一見、喜ばしいことに思えるかもしれませんが、実際には国民の年金受給を先延ばしにさせようとしているに過ぎません」

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