4月26日、米アップルは2016年1-3月期(第2四半期)の決算を発表した。中国での『iPhone』の販売不振などから、2003年1~3月期以来、前年同期比ベースで13年ぶりの減収となった。中国は、アップルにとって米国に次ぐ2番目に大きな市場だ。中国の消費不振はしばらく続くとの見方から、4-6月期も減収を予想している。
決算内容を受けて、株価は大きく売られる格好となった。前日は103.91ドルだったが、決算発表を受けて96.00ドルまで下落。翌日も97.82ドルと100ドル割れで推移している。アップルの株価が100ドル割れとなるのは、3月の初旬以来である。
こうした一連の流れから、マーケットでは、アップルについてネガティブな見方が台頭しつつある。以前から、iPhoneの売上高が全体の6割を超えており、1つの製品への依存度が高すぎるリスクが指摘されていた。ここにきて、iPhoneの買い替え需要に陰りが見えてきており、そのリスクがいよいよ顕在化してきたというわけである。
鳴り物入りで登場した『アップルウォッチ』の販売も伸び悩んでおり、iPhoneに次ぐヒット商品が、目下見当たらないだけに、先のリスクは大きくなっていることは否定できないだろう。
しかし、株式投資という切り口で見ると違った側面がみえてくる。アップル株は、配当金狙いとしては、有力な選択肢となりうると考えられる。
アップルは2012年から、投資家に対する配当を再開している。しかも、2014年に「毎年配当金増額を計画している」と公式に表明したとおりに、毎年、配当金を増額している。
この配当金の増額は今後も続く見通しで、今回の決算でも、四半期ベースの配当を52セントから57セントに引き上げると発表した。すると、年間の配当は2.28ドルとなるため、4月28日の終値94.83ドルで配当利回りを求めると、2.40%となる。
米国株だけでなく、日本株にもこの配当利回りを超える銘柄は多数存在する。トヨタ自動車やNTTドコモといった時価総額が大きい優良株をみても、2%後半から3%前半の配当利回りとなっている。
だが、売上高が頭打ち傾向といっても、アップルは今回の1-3月期四半期で5兆円以上の売上高がある、世界最大の時価総額を有する企業だ。内部留保(現金および現金に近い資産)も20兆円程度あるとみられ、安定度は抜群。毎年、巨額の自社株買いも実施している。
米国の株式アナリストには、アップル株を成長株ではなく、割安株として評価する人が少なくない。現状の超低金利状況においては、配当金狙いで購入する手は十分ある。
米アップル株は2015年3月から、NYダウ工業株30種平均の採用銘柄となっている。米国株は現在、史上最高値近辺まで出直っており、世界の株式市場の中では強さが際立っている。米国株を見直す好機でもある。
文/松岡賢治(ファイナンシャルプランナー・ライター)