仮想通貨の中では圧倒的に取引量の多いビットコインだが6月21日、価格が急騰、昨年3月以来の1万ドル越えとなった。急騰の要因として、マイニング(発掘)が進んだことで供給量の増加が抑えられる見通しであることや、投機筋の流入なども挙げられようが、何といってもフェイスブック(Facebook)が暗号通貨(仮想通貨)「リブラ」(Libra)を発行すると発表したことによる影響が大きいとみられる。
フェイスブックは18日、仮想通貨「リブラ」を発行すると発表した。その目的は、使い勝手の良いグローバル通貨を生み出し、育てることにあり、そのために数十億人規模でサービスを提供できる金融インフラ設備を建設すると説明している。さらに、新たなデジタルウォレットである「カリブラ」を冠した組織を創るとしている。カリブラはフェイスブックメッセンジャーやワッツアップでそのまま利用できるが、iOS、Android向けの独立したアプリケーションを用意し、利用者の拡大を促すようだ。
仮想通貨としてのリブラの特徴は以下の3点である。
【1】安全で拡張可能、信頼できるブロックチェーン技術を基礎とする
【2】内在的価値のある資産準備を裏付けとする
【3】独立したリブラ協会を設立し、そこがリブラのガバナンスを行う
【1】については、資金力のあるフェイスブックが最新のブロックチェーン技術を開発・利用することになり、安全性、拡張性、信頼性の点で、その他の暗号通貨を凌駕する可能性は十分考えられる。
【2】について、仮想通貨の弱点は「価値の裏付け」がないために、価格変動のボラティリティ(変動率)が大きいことだ。それを補うために、金やその他の資産、通貨のバスケットを裏付けにするようである。詳しい内容は明かされていないが、その他の暗号通貨との差別化に役立つはずである。