自民党の「人生100年時代戦略本部」が掲げたのが、「エイジフリー社会」の構築だ。同本部が今年5月21日に安倍晋三・首相に提出した「社会保障改革ビジョン」では、社会保障=年金のあり方について、〈給付抑制や負担拡大は不可避であるが、それらに加えて社会保障改革の「第3の道」(「支える側」と「支えられる側」のリバランス)を進めるという発想も必要である〉と提言している。
すなわち、年金減額と保険料アップに加えて、現役時代に年金保険料を積み立ててきた高齢者にも、まだまだ年金をもらう側ではなく払う側に回ってもらう。
〈「年齢の壁」を超えて、「高齢者」や「現役世代」の捉え方を見直し、エイジフリーで活躍できる環境を整備することが必要〉
“生涯現役で働き、死ぬまで年金をもらうな”ということだ。
実は、これからの人生100年時代を乗り切るには、この政府・自民党の方針の逆をやったほうがいい。長く働くのではなく、65歳の年金受給開始と同時に完全リタイアして「無税生活」を送る方法である。
金融庁の「老後2000万円不足」試算のベースにも使われた総務省の家計調査によると、70歳以上(2人以上世帯)の平均消費支出は月額約23.5万円。そのうち旅行や教養娯楽費などを除いた、食費や光熱費など生活に不可欠な出費(基礎的支出)は月額約16.8万円にとどまる。