「郵便局で売っている『かんぽ』なら安心と思っていたのに大ショック。いったい、どの保険を選べばいいのか…」
埼玉県在住の専業主婦・村上良子さん(仮名・54才)はそう言ってため息をつく。
7月10日、かんぽ生命が保険商品の不適切販売を謝罪したことにより、同社のずさんな営業方法が次々と明るみに出た。更新時に2つの保険を重複して契約し、二重に保険料を支払わせるなど顧客が不利益を被っていた事例は10万件を超え、金融庁が改善命令を出す事態に発展した。
ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんが解説する。
「かんぽの保険は“郵便局が売っている”ということで消費者の信頼を得ていました。しかし、ほかの保険会社と比較して保険料が安いわけではない。商品としても単独の医療保険はなく、終身保険や定期保険の特約のみ。そうした商品を売ってノルマを達成するため、顧客本位ということをないがしろにした結果でもあります」
国営企業をルーツとした保険会社の不祥事は、契約者のみならず国民全体に大きなショックを与えた。同社は9月以降も営業を自粛するというが、保険業界全体に対する不信感は募るばかりだ。
実際、本誌・女性セブン7月25日号に掲載した「保険会社に勤務する200人の本音リスト」で発表した「実際に入っている・入りたくない死亡保険ランキング」には大きな反響が寄せられた。
特に多かったのは、「自分の死後、家族にお金を残せるのかはもちろん気になるところだが、それ以上に気がかりなのは、病気やけがをした時に本当にしっかり保障してくれる保険はどれなのか」という戸惑いの声だった。なかには、「テレビCMで繰り返し流れるがん保険は入るべきなのか」という疑問も多かった。2人に1人はがんになる現代日本で、病気の保障が気がかりなのは当然だろう。