かんぽも、ゆうちょも不適切な営業が横行し、郵便事業は採算割れ―国内屈指の規模を誇る3社がグループの事業を構成する“巨象”はなぜ、機能に綻びが出ているのか。
ゆうちょ銀行の預金残高180兆円は3メガバンクを抑えて国内トップ。かんぽ生命も売上高や純資産では日本生命などに後れを取るものの、支払い余力を示す指標で見ると他社を圧倒する。日本郵便も大きなシェアを誇る上に、手紙などの信書は今も独占事業だ。
にもかかわらず、不祥事が次から次へと発覚した。
「日本郵政グループは、深刻なガバナンスの欠如を露呈してしまった」
そう語るのは、5年前からゆうちょ銀行の社外取締役を務める経済ジャーナリストの町田徹氏。1993年に旧郵政省記者クラブに在籍して以来、国営、公社、民営化と変遷してきた日本郵政グループを取材してきた。今回、「ジャーナリストとして話す」と断わった上で不適切販売が蔓延した背景について語った。
「(政府が)国営と民営の両方の“良いとこ取り”をさせようとしたことが仇になって、業務に制約が生まれた。金融業務にしても、国営時代からの規制が温存され、銀行なら当然のローンや海外業務はできず、集めた預金の運用先も制約されている」