投資情報会社・フィスコが9月2日~9月6日のドル円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル円は上げ渋りか。米中貿易摩擦の解消に向けた両国の協議が9月に開催される見通しで、過度な警戒による円買いは後退。ただ、低調な米経済指標で9月利下げを織り込むドル売りが出やすい展開となりそうだ。深刻化する米中貿易摩擦が嫌気され、8月26日にドル・円は一時104円46銭まで下落し、今年最安値を割り込んだ。
米中両国は9月中にワシントンで通商協議を開催する予定で、進展期待から過度な警戒感は後退しそうだ。ただ、対立は再燃する可能性からドル買い(円売り)には慎重になるとみられ、ドル高・円安の進行は想定しにくい。一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月23日の講演で、9月利下げへの直接的な言及を避け、政策選択の余地を残した。しかし、米国経済は良好としながらも、適切な行動を取ると明言しており、米中摩擦の長期化は避けられないため、市場には年末に向けて複数回の利下げの観測が広がりつつある。
そのため、ISM製造業景気指数や雇用統計など重要経済指標が市場予想を下回った場合、9月17-18日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げに思惑が広がりやすく、リスク回避的なドル売りがすみやかに縮小する可能性は低いとみられる。
【米・8月ISM製造業景況指数】(9月3日発表予定)
9月3日発表の米8月ISM製造業景況指数は51.3と、7月の51.2を下回る見通し。直近の製造業PMIが経済活動の拡大と縮小の節目である50を割り込んでおり、ISMも低調な内容となれば株安を通じてドル売りに振れやすい見通し。
【米・8月雇用統計】(9月6日発表予定)
9月6日発表の8月雇用統計は、失業率3.7%(前回3.7%)、非農業部門雇用者数は前月比+16.2万人(同+16.4万人)、平均時給は前月比+0.3%(同+0.3%)と見込まれる。想定を下回る内容となれば、FRBの利下げ継続を意識したドル売りに。