「上級国民/下級国民」という言葉が浸透するなど、格差拡大が深刻な問題となりつつある日本。自分の世帯年収は把握していても、それが「普通の家庭」レベルなのか、全体の中でどれぐらいの「序列」にいるのか、わかっているだろうか。収入の格差は、学歴によっても如実にあらわれる。
最新の文科省のデータ(2018年度)によると、「大卒」(大学進学率)は男性57.3%、女性58.5%。一方、大学に進学しない「非大卒」は男性で42.7%、女性で41.5%である。
2009年頃から「大学全入時代」という言い方をされるようになったが、男女ともに約4 割は大学に進学しておらず、そのうち17.5%が中学または高校卒業後就職し、15.9%が専門学校に進学している。
学歴と収入に相関があるのは明らかだ。『アンダークラス』(ちくま新書)の著者で早稲田大学人間科学学術院教授の橋本健二さんによると、30代男性では大卒の貧困率が3%なのに対し、非大卒は13.2%。30代女性では大卒が4.5%、非大卒が15.1%だ(グラフ参照)。いくら「社会に出たら能力主義だ、学歴は関係ない」と言っても、貧困率は3~4倍も違ってくるのが現実なのだ。
『日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち』(光文社新書)の著者である大阪大学教授の吉川徹さんは、性別・年齢・学歴の違いによる大規模な調査を行い、学歴と「ポジティブ感情(幸福度)」を分析した。
「上級と下級が、学歴によって分かれるのは、ポジティブ感情にも表れています。ポジティブ感情とは、生活全般に満足し、自分の人生は自分で自由に決められる、幸福だと思えることを指します。これが高いほど上位になります。
性別・年齢別に大卒4グループ、非大卒4グループで比較したところ、ポジティブ感情が高い上位4つは例外なく大卒が占め、下位4つは非大卒となりました」