最新の文科省のデータ(2018年度)によると、「大卒」(大学進学率)は男性57.3%、女性58.5%。一方、大学に進学しない「非大卒」は男性で42.7%、女性で41.5%である。2009年頃から「大学全入時代」という言い方をされるようになったが、男女ともに約4 割は大学に進学しておらず、そのうち17.5%が中学または高校卒業後就職し、15.9%が専門学校に進学している。
大学進学率を都道府県別にみると、東京は72.7%、大阪は56.2%、愛知は53.2%と、3大都市圏では全国平均と同様に5割を超えている。一方で下位を見ると、岩手は38.5%、大分も38.5%、秋田は39.5%と4割を切っており、地域別で大きな差がある。『アンダークラス』(ちくま新書)の著者で早稲田大学人間科学学術院教授の橋本健二さんが話す。
「この進学率の差は、そもそも地方の大学定員が少ないことが少なからず関係していますが、それだけではありません。特に、東北地方には、特有の傾向が見られます。東京在住者を対象に、東京、千葉、神奈川などの南関東出身者、東北出身者、関西や九州などそれ以外の出身者と、3グループに分けてそれぞれ行った調査によると、大卒者の割合は、南関東で44.9%、それ以外で52.5%、東北では17.9%と、東北の大卒割合が他の地域に比べて著しく低かった。反対に、非大卒者の多い労働者階級の割合は、東北出身者は67.9%と最も高く、南関東は50%、それ以外では38.9%でした。
東北地方の大学進学率がもともと低いこともありますが、一般に、多くの地方出身者は高度な知識や経験、技術などを発揮できる職を求めて上京するため、大卒の地方出身者が多くなるのに対し、東北では、大卒者は地元で就職することが多く、非大卒者は職を求めて上京する傾向が強いのではないかと思います」
『上級国民/下級国民』(小学館新書)の著者で作家の橘玲さんはこう付け加える。
「他人と比べて、何らかのアドバンテージを持つ地方出身者は都市部に行こうとする傾向が強い。学歴による収入格差はあるものの、地方にとどまる人よりも、経済的に豊かになる傾向は強いでしょう」
※女性セブン2019年10月10日号