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若手芸人が語る“前説”のやり甲斐と難しさ 試される芸人力

芸人にとって「前説」という仕事はどんな意味を持っているのか

 テレビ番組をスタジオ収録するとき、観覧客を入れて行われるケースがある。このときに必ず行われるのが“前説”というものだ。前説では番組収録中の諸注意が伝えられる。そして拍手や笑い声の練習も行われる。前説は番組ADが行うこともあるが、特にバラエティ番組では芸人が担当することも多い。

 前説の雰囲気でその日の番組収録が左右されると言っても過言ではない。それだけ前説は重要な仕事だ。番組収録前で緊張している観覧客を“温める”のは簡単なことではない。芸人はフリートークや漫才などのネタを披露してその場を盛り上げる。そしてよく行われるのが“客いじり”である。営業などのイベントの場でも使われる手法だが、客とコミュニケーションを取ることによって心を掴むのだ。この客いじりがなかなか一筋縄では行かないという。前説歴5年の若手芸人Aさん(20代)に話を聞いた。

「前説を始めた頃は客いじりをしてもそのお客さんの反応があまりなかったりして何度も失敗しました。今ではフリートークやネタ中にお客さんの笑い方を見て、ノリが良さそうな人を見つけて、そのお客さんをターゲットにしています。そういうお客さんはちょっと失礼なことを言ってもノリで返してくれて、その場が盛り上がるのでとても助かります。

 ただ、芸人にとって前説で大事なのは、お客さん受けだけではありません。スタッフさんの反応もかなり気にしているんです」(Aさん・以下同)

 番組スタッフや放送作家は、前説芸人のトーク力やネタを見ている。そして、それが面白ければ、その番組にゲストで呼んだり、担当している他の番組で起用してみようと考えるのだ。

 つまり、前説が一種のオーディションの役割も果たしているため、芸人は前説に手を抜くことはなく、より一層力を入れるのである。

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