9月14日、サウジアラビアの石油施設がドローンで急襲されたことに伴い、原油価格が高騰した。トレーダーはこうした突発的な事件に対してどのような対応・準備を心掛ければよいのだろうか。今回の原油急騰の背景と投資家の心構えについて、FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
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サウジアラビアの石油施設へのドローン攻撃により、WTI原油先物では一時1バレル=64ドル付近まで急上昇しました。このような動きをした背景には、原油や金などの商品(コモディティ)ならではの要因があります。
コモディティは、価格形成にあたり需給が大きな影響を与えるため、需給バランスを崩す材料が現れると、大きな変動に繋がりやすいです。今回は、攻撃された施設がサウジアラビアの石油供給量において大きな割合を占める石油施設であったことなどから、原油供給が先細る懸念を投資家に与え、原油価格が大きく上昇しました。
しかし、こうした急な地政学リスクから起きた価格変動は、中長期にわたるトレンドにはならないものです。サウジアラビアの石油施設攻撃の報道を受けて、WTI原油先物は10%以上の急騰を見せるも、上昇は一時的なもので、現在の価格は高騰前の水準まで戻しています。
今回のように突発的な事件をあらかじめ予測してトレードすることはできませんが、投資で勝つためには、取引する商品の価格がどのような要素から形成されているのか、事前に知っておくことが大切です。また、チャートの推移などテクニカル分析を徹底的に活用することで、トレードの精度を向上させることもできます。
直近のドル円相場を例に、フィボナッチ・リトレースメントというテクニカルツールで分析してみましょう。1ドル=112.41円から1ドル=104.44円までの下げ幅に対して、50%の戻り高値1ドル=108.49円の近辺で現在は推移しています。次の水準は61.8%価格の1ドル=109.365円です。この水準価格は、8月1日高値の1ドル=109.330円と近いのでレジスタンスになりやすいと思われますが、日足の移動平均線はゴールデンクロスしており、日足の一目均衡表は雲スパン上で推移しています。レンジ形成になるケースも考慮して、押し目買いスタンスのトレードを考えています。
こうしたテクニカル分析を徹底的に活用したトレードのおかげで、私自身、これまで億単位の利益を残すことができているのではないかと考えています。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)