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加速する「リブラ潰し」の動き 世界各国が警戒するワケ

米下院金融サービス委員会の公聴会に出席したフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(Getty Images)

 2019年6月18日にプロジェクト構想が発表された新たな仮想通貨(暗号資産)「リブラ」は、世界中で注目を集めた。世界で20億人を超えるユーザー数を持つフェイスブックが、その発行プロジェクトを主導しているからだ。だが、2019年10月に入り、リブラは猛烈な逆風にさらされている──。

 主要各国の要人によるリブラ批判が止まない。たとえば、フランスのブリュノ・ルメール経済・財務省は「現状のままではヨーロッパへのリブラ導入を許可することはできない」と発言し、抵抗感を露わにしている。

 また、G7は2019年10月18日、ステーブルコイン(*価格変動を抑えるために法定通貨の価値に準拠するデジタル通貨)に関するワーキンググループの調査結果を発表し、次のように指摘した。

「ステーブルコインはグローバル決済を効率化し、その発展に貢献する可能性がある。一方で、その規模に関係なく、マネーロンダリング対策、サイバーセキュリティ、データ保護などの懸念点がある。普及が世界規模となる場合には、国家の金融政策や経済の安定性、国際的な通貨システムにまで影響を及ぼす可能性がある」

 ここでいうステーブルコインとは、もちろんリブラのことだ。そのG7の指摘に対して、リブラの運用コンソーシアムであるリブラ協会は、「マネーロンダリング防止や本人確認等についても徹底して対策を行なっており、グローバルな金融システムの安定性を重要視し、国家主権による金融政策に対しても強調し、既存の規制機関と協力し合いながらデジタル金融の世界を混乱させたり、損なわせるようなことはない」と明言している。

 さらに、10月23日、事態は急展開を見せる。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が米下院金融サービス委員会の公聴会に出席し、「米当局から許可を得るまで、全世界でリブラの発行はない」と明言したのだった。それを受けてフェイスブックは同日、当初は2020年前半を計画していたリブラの発行を延期すると発表した。

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