生鮮食品から加工品まで、一か所でまとめて買うことができるスーパー。しかもラクできて安い総菜も揃うため、日々の食事をスーパー頼みにする人は少なくないだろう。だが、そんな“生活の味方”が、実は私たちの体を脅かすことも──。
近頃はスーパーでも、“焼きたてパン”を売りにするところが増えた。スタッフが焼き上がりを知らせるハンドベルを鳴らすと、店中にいい香りが広がる。鼻をくすぐるにおいにつられて、つい買ってしまいがちだが、この「焼きたて」にはカラクリがある。食品ジャーナリストの郡司和夫さんが指摘する。
「たしかにその場で焼いていておいしそうに思えるのですが、実はパン生地自体は数か月前に作った冷凍のものであることが多く、店舗ではオーブンで焼き上げているだけ、というスーパーがほとんど。日持ちさせるために添加物を入れざるを得ませんし、街のベーカリーとは別物と考えた方がいい。
ただし、イトーヨーカドーなどはゼロから生地を作って焼いているとうたっていますから、決してすべてのスーパーが古い生地を使っているわけではない。しかしその割合はかなり多いといえるでしょう」
食品表示アドバイザーの垣田達哉さんは製造方法だけでなく、販売方法にも問題があると話す。
「スーパーのパンは比較的長い時間、外気にさらされる形で陳列される場合が多い。あれは衛生面で問題があります。客のつばが飛んだり、子供が触ったりすることもある。新型コロナウイルスやインフルエンザが流行している現在は特に避けるべきでしょう」
日頃から通い慣れたスーパーだけに見慣れてしまっている部分もあるが、この機会に専門家の指摘を胸にあらためてチェックしてみたい。垣田さんによれば、総菜や弁当の製造過程は、スーパーよりもコンビニの方が安全だという。
「いまのスーパーの総菜は、店内で作るところが増えている。一方、コンビニは専門業者が工場で作ったものが配送されています。やはり食品工場の方が風を当てて衣服のほこりを除去するエアシャワーを備えているなど衛生管理が行き届いており、一般的に安全性が高いといえます。スーパーのバックヤードはいくら気をつけていても食品工場のレベルには及ばない」
やはり手間はかかっても、家の手作りの食事に勝るものはなし、か。
※女性セブン2020年3月5日号