米MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)は北京時間6月15日未明、中国A株のMSCI新興国株指数銘柄入りについて、延期すると発表した。これで3年連続3回目の見送りとなった。
A株とは中国本土(上海・深セン)で取引されている人民元建て株式のことだが、どこに問題があったのであろうか?
昨年の延期決定時点では、海外投資家に対する株式の分配プロセス、資本流動制限、実質的な株式保有による権限などの3点について問題があるとMSCIは指摘していた。
また、今年4月に入り、新たに2つの問題点を指摘している。上場会社の取引停止に関する任意性、海外におけるA株関連の派生商品組成に対する制限の2点である。
結局、障害は2点に絞られる。
1つ目は、資本流動性制限である。中国の証券監督管理委員会(証監会)は、今年2月、QFII(適格海外機関投資家)制度に関する規制を緩和した。資本流動性制限については、毎月、前年純資産額の20%以下なら資本を引き出せるように変更されたものの、MSCI側はまだ不十分であるとしている。
2つ目は、上場会社の取引停止に関する任意性である。証監会は5月、取引停止企業に対する管理を強化すると発表した。上場会社は現在、株価に影響を与えるような“重要な企業リストラを予定している”という理由で取引停止を申請することができるが、審査を厳格にするなどといった内容である。