政府が新型コロナウイルス対策の目玉として打ち出した「30万円現金給付」は、多くの国民には届かない“見せガネ”だった。もらえるのは全国5300万世帯のうち約1300万世帯とされる。わずか「4世帯に1世帯」にすぎない。
対象は「世帯主の月収が減り、住民税非課税(夫婦と子供2人なら年収約255万円以下)になる見込みの世帯」などとされるが、パートの妻が解雇され、夫は残業がなくなって世帯収入が大きく減ったとしても、妻の減収は計算されないために給付対象にならないケースが多い。生活実態に即した制度とは言い難い。
年金生活世帯や年金をもらいながら働く定年後世帯も大半は対象外だ。
「緊急事態宣言」が発令されたことで国民生活はもっと厳しくなる。
たとえば、これまでは会社の指示で休業中の社員には、労働基準法に基づき「休業手当」が支払われた。ところが、緊急事態宣言後は、「会社都合の休業」ではなくなるため、企業は休業手当を支払う義務がなくなるという本末転倒な事態も起きる。
現金給付はもらえず、休業手当もいつまで出るかわからない。国民の生活は、いままさに正念場を迎えている。
※週刊ポスト2020年4月24日号