ETF(上場投資信託)がじわじわと市場を拡大している。ETFは日経平均などの株価・商品価格の指数(インデックス)に連動するようにつくられており、株式と同様に証券取引所で取引が行われている間、リアルタイムで取引ができる。国内ETFは1口1~2万円程度から取引でき、株のように個別銘柄選択の必要がない分、初心者でも取引しやすいといえるだろう。
個人投資家の資産運用の1つとして国内・海外ETFに注目しているマネックス証券では、日本株取引のうち、ETFの割合が取引口座数でみると約3割にものぼるという。同社のトレーダー・サービス部マネージャー宮本祐一氏に、ETFの取引状況を聞いた。
「アベノミクスの盛り上がりに合わせて、2013年頃からETFの取引が増え始めました。銘柄としては『NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信:1570』(以下、日経レバ)がそのほとんどを占めています」(宮本氏。以下、「」内同)
日経レバは、日経平均株価の日々の騰落率の2倍の動きになるよう設定されたETFだ。日経平均が10%上がれば、日経レバは20%上がるように設定されている。株価上昇トレンドでは大きな収益が期待できるというわけだ(反面、下落局面では損失も大きくなる)。
日経レバだけでなく、最近では米国株の指数に連動した海外ETFの人気も高まってきているという。
「特に取引量が多いのは『iシェアーズ・コア S&P500:IVV』、『スパイダー S&P500:SPY』といった米国株価指数S&P(スタンダード&プアーズ 500)に連動する銘柄です。S&Pの値動きは長期的にみれば着実に右肩上がりの動きをしてきました。リーマン・ショックなど世界的な株安時はさすがに落ち込んでいますが、その後はきちんと価格が戻ってきているので、現在の不安定な日本のマーケットと比較して、取引を考える人が多いようです」
米国の株価指数に連動したETFなら、FacebookやAppleなど世界屈指の人気銘柄へ容易に投資できる点も、投資家にとっての魅力となっているようだ。
「世界中の株式に投資できる、『バンガード・トータル・ワールド・ストック:VT』(以下VT)も人気があります。VTは世界47か国、約8000銘柄への投資が可能で、信託報酬も低いため、積み立て感覚で長期保有する人が多いのが特徴です。新興国に分散投資ができる『バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF:VWO』も取引高が徐々に増えてきました」
その他、海外ETFには世界的なサイバーセキュリティー企業に絞って投資できるETF『ピュアファンズISEサイバー・セキュリティーETF:HACK』や、ウォーレン・バフェット、カール・アイカーンなど世界的なビリオネアのポートフォリオと同じ銘柄に投資できる『ディレクション・ビリオネア・インデックスETF:IBLN』など、多彩な銘柄が数多く存在する。
「海外ETFを取引しているお客様は、比較的投資金額が大きく、経験豊富な方が多い印象があります。基本的に投資対象国の通貨での取引になるため、為替リスクもありますが、米国株をはじめとした外国株の入門として海外ETFから取引を活用することもできると思います」
日経レバから火が付いたETF人気だが、ここへきて海外ETFが注目を集め始めており、さらに裾野を広げた根強いブームとなるかもしれない。