参院選も終わり次は東京都知事選が待ち構えているが、舛添要一氏が東京都知事の職に恋々としがみついた大きな理由は、「2020年の東京五輪・パラリンピック」を見据えたからにほかならないだろう。実際、政治も経済も来る2020年に向けてフル稼働しようとしている。
都内では新国立競技場をはじめとするインフラ整備が進み、安倍政権が推し進めるアベノミクスも「2020年」にあやかろうと、「GDP(国内総生産)600兆円」という目標を掲げ、「一億総活躍社会」の実現を目指している。
だが、近著『偽装中流』が話題のジャーナリストの須田慎一郎氏によると、「来る2020年は決してバラ色の未来ではない」という。いったいどういうことなのか、須田氏が解説する。
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2020年に向けてさまざまな局面で盛り上がりを見せつつあるが、むしろ東京五輪が終わった途端、以下のような問題が続出し、日本が坂道を転がり落ちていくような事態に陥る可能性が高い。
●「団塊世代」の後期高齢者入り
2020年代、厳密にいえば2022年には、1947~49年生まれの「団塊世代」が75歳を迎え始め、後期高齢者となる。団塊世代はその数の多さもさることながら、好奇心が旺盛といわれるが、さすがに75歳を超えてくるようになると、介護の必要性は爆発的に増えてくるのは間違いない。
そうすると、介護関連施設の拡充をはじめ介護関連費用が財政を大きく圧迫する要因になるのは容易に想像できる。あるいは要介護に至らずとしても、健康を維持するために医療費が加速度的に増大することは避けようがないだろう。