住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「有明」(東京都江東区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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日本の人口がマイナスに転じ、地方では過疎化が進む中、膨張を続けるのが東京都。もはや開発し尽くされた感もある東京の中でも「最新の街」が有明です。数年前からマンションが建ち始め、6月には街の中心となる商業施設「有明ガーデン」もオープン。目下、情報番組や散歩番組でしきりに取り上げられていますが、この新しい街は住む街としてどうなのでしょうか。
鉄道は、豊洲~新橋を結ぶ「ゆりかもめ」のみ。隣駅の「有明テニスの森」が数百メートルしか離れておらず、目的地に合わせて上手に使い分けることで、歩く距離を減らせそうです。駅名こそ違うものの、りんかい線の国際展示場駅はすぐ隣で、りんかい線経由で渋谷や新宿などに1本で出ることができます。ただ、ゆりかもめで豊洲まで行くと、6分程度の乗車時間で260円、りんかい線経由で渋谷まで行けば500円と、電車賃が高いのはマイナスポイント。銀座や東京駅などに行く際、地図上では近いのに、公共交通機関だと時間がかかるのも気になります。
道路状況は、湾岸地区に出来た計画都市だけに良好です。道幅は広く、大型車や高級車の運転も快適。歩道と車道が完全に分離しており、小さい子がいても安心です。一般道で銀座まで10分。高速の入口はすぐ近くで、羽田空港や東京ディズニーリゾートへはあっという間です。お台場やビッグサイトなどが近いため、大型連休や催事が行われる際の渋滞は必至ですが、東京湾沿いに立ち並ぶ大型商業施設やレジャー施設を楽しむためにも、車は持っていたほうが便利でしょう。
東京で最後に残された“お宝ゾーン”
冒頭で述べたとおり、いまなお開発が続く東京ですが、有明はいよいよ東京開発の“打ち止め”に近い街です。ここ20~30年来、芝浦、お台場、東雲、豊洲など、それまで工業地域だった場所がどんどんと宅地化されてきましたが、それもやり尽くされた感があり、残る場所は、東京五輪の選手村を経て一般分譲される晴海と有明ぐらい。どちらも東京駅から5~6kmと、立地は抜群です。