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カオナビ:利益急成長が期待されるHRテックのトップ企業

カオナビ(4435):市場平均予想(単位:百万円)

カオナビ(4435):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 カオナビ(4435)は、人材マネジメントシステムのリーティングカンパニー。2008年設立のSaaSプロバイダーで、企業の人材管理をサポートするクラウド人材管理システム「カオナビ」を展開しています。

「カオナビ」は、社員の顔写真アイコンに、名前など基本情報のほか、経験や評価、スキルなど様々な人事情報を紐付けて、人材配置や目標管理に活かすことができるタレントマネジメントシステムです。

 人材情報は多くが人事基幹システムやエクセル等に散らばったまま共有されずに保管(放置)されていることが多いですが、それをクラウドで一元管理することで、情報共有(人材の見える化)と、それによる適材適所への人材配置が可能となり、生産性が向上する、というメリットを得られます。

 この領域は、人材管理にITを組み合わせた「HR(Human Resources)Tech」と呼ばれ、働き方改革推進に不可欠な労働生産性向上を実現するために、最近注目を集めています。

 カオナビは「労働生産性の向上には人材マネジメントの改革が不可欠」という想いから開発されたシステムで、企業の「働き方改革」推進も追い風に2012年のリリース以来、業種業態規模問わず幅広い分野で導入されています。2020年6月末時点での利用企業数は1800社を突破し、国内クラウド人材マネジメントシステム市場で32.2%のトップシェアを獲得しています。

注目ポイント

 顧客の順調な増加と低い解約率、月額課金によるストック型ビジネスモデルという堅固な収益基盤を持っており、売上成長が着実だったものの、先行投資を実施してきたことから利益面では赤字を計上してきました。それが一転今期においては前期のマーケティングコストがなくなった影響もありますが、利益急拡大しており、業績拡大ステージに入った模様。赤字を恐れず、積極的に行ってきたマーケティング投資の効果が目に見えて現れています。

 赤字であっても積極的攻勢をかけることができたのは、売上基盤、それも利益率拡大するストック売上基盤が、順調に成長しているからこそ。ストック売上比率は89%まで上昇しており、資金創出力が着実に向上⇒フリーキャッシュフローは、前年同期の1.8倍まで増加しています。

 財務状況については、自己資本比率42.0%、有利子負債は4億3100万円です。ただ現金・現金同等物に18億2000万円を保有しているため、これを考慮すると、実質無借金経営となります。

 また、堅調な利用企業数の増加により、前受収益は前年同期比で70%増、前四半期比で23%増と順調に拡大しており、流動負債の62%を占めるまでになっています。ただそれでも流動比率は1.7倍を確保しており、財務面は健全。

 加えておきますと、同社は過去数年にわたって赤字経営だったことから、利益剰余金は9億5000万円の赤字となっています。この点についてですが、前四半期から見ると、一転して純資産を下回る水準に改善していることは注目すべきところです。ストック収益の拡大とコスト改善施策による利益急拡大が反映された結果であり、今後も改善が続くと見られます。同社の事業は、認知度を上げることが売上拡大につながることから、今後もマス広告を行う可能性がありますが利益確保していける段階にきたとの見方から、大きく懸念するところはあまりないと思われます。

【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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