友人関係というものは年齢やライフスタイルによって変化していくのが常だが、完全にリセットされることは少ない。引っ越しや転職をしても、携帯やメールが変わっていなければ連絡を取れるし、年賀状のやり取りだけは続いている、という関係も少なくないだろう。
そうした中で、「定期的に友人関係を完全リセットする」というライフスタイルを実践している人がいる。都内に住むMさん(40代・男性)は、いかにしてそのような生活をするに至ったのか?
Mさんの「リセット人生」がスタートしたのは小学校の頃だ。親が転勤族だったため、小学校で2回、中学で1回、転校を経験。高校入学のタイミングでも引っ越しをしたため、中学までの友達とは完全に交流が途切れている。当時はSNSなどなく、連絡を取るとすれば、固定電話か手紙。友人関係を継続させるハードルは今よりも高かった。Mさんと大学時代に知り合った友人のTさん(40代・男性)がいう。
「『友達ができたと思ったら、転校でサヨナラ』というのがMの子供時代の記憶のようです。どこか冷めた性格は、そういった経験が影響しているのでしょう。父親の転勤がいつも10月で、『運動会の練習をしたのに本番に出られなかったこともあった』と言っていました」(Tさん。以下同)
こうして強制的に根無し草のような人生を歩むことを強いられたMさんは、大学で上京。大学院は関西に移り、海外留学も経験。その後、初めての就職で中部地方、転職して北陸、2度目の転職で都内と、流浪の生活を続けるが、これらの移動の度に友人関係はほぼすべてリセットしているという。
「Mは、年賀状は一切出さず、SNSもやっておらず、引っ越しても転居先を知らせないので、高校も大学も大学院も、卒業したらそれっきり。それだけなら“フェイドアウト”ですが、Mは『引っ越すタイミングで携帯も変えて、連絡先を消してしまう』と言っていたので、“リセット”と言って良いでしょう」