親の言うことを聞いて、“いい子”と言われて育った人は、知らず知らずのうちに親の呪縛から抜け出せなくなっている──。“毒親”の存在が、あなたの人生に暗い影を落としているかもしれない。今回は、そんな“毒親”に育てられた40才会社員の女性の実例から、キャリアカウンセラーが、親との関係を見つめ直す方法を解き明かす。
【実例】自分より美しくなるのは“悪”だと刷り込む母
「先生とママ、どっちがきれい?」──。若く美しくあることにこだわりのある母は、幼い頃から、ことあるごとにこういう質問をしてきました。実際母は美しく、私の自慢でした。私も自然と“女は常にきれいで若々しく、細身でないといけない”という価値観が刷り込まれ、小学生からダイエットで体重管理をし、身なりには気をつけてきました。そうすれば、大好きな母に近づけるし、母にも喜んでもらえる、そう思っていたんです。
ところが中学生となり、男子から何度か告白をされると、私がどんなに頑張っても、母は認めてくれないようになりました。それどころか、「汚いニキビ面のくせに、告白されるわけないじゃない。媚びを売ったんでしょ、いやらしい」と怒られたり、「貧乳なんだから、ブラジャーなんてつける必要ないわ。色気づいて、ああいやだ」と、大学に入るまで、下着を買うことも許されませんでした。母からは毎日、醜いと言われていたので、美しくなるための努力をしたかったのですが、女性らしいことをすると逆に怒られてしまう……。
今年40才になりますが、化粧をしたこともありませんし、男性とおつきあいしたこともありません。ブスな私がそんなことをしては、周りに不快感を与えるんじゃないかと怖くて……。でも、化粧で美人に変身する女性のユーチューブ動画などを見るたび、もしかしたら私もきれいになって男性とおつきあいできるかも、という希望がわいてきます。でもそんなことをしたら母になんと言われるか。きれいになりたい欲望と母に怒られる恐怖で揺れる毎日です。
(40才・会社員)