米大統領選で民主党のジョー・バイデン氏が当選を確実にしたが、全世界が注視する米中対立の構図は、バイデン政権でも続くと予想されている。『経済界』編集局長の関慎夫氏が指摘する。
「特に最先端分野でその傾向は強まるはず。米国で槍玉に挙げられている中国のファーウェイ(華為技術)に対する規制が続けば、同社のスマホのシェアが落ち込む代わりに韓国サムスンのシェアが高まるでしょう。スマホなどに使われる画像センサーはソニーが圧倒的でしたが、自社製画像センサーを搭載したサムスンのスマホのシェアが高まると、結果的にソニーのシェアが落ちることになる」
トランプ大統領に近づいた末に、バイデン政権下で“手のひら返し”に遭いかねない日本企業もある。ソフトバンクグループだ。
同社を率いる孫正義・会長兼社長は、トランプ氏が勝利した前回の大統領選直後、ニューヨークを訪れ「米国内の新興企業などに500億ドル(約5.7兆円)の投資と5万人の雇用創出」を約束するなど、トランプ政権に露骨な“すり寄り”の姿勢を見せた。
「同社は中国のIT大手・アリババの筆頭株主であり、いわば『投資先は米国と中国』という両天秤のスタンスをとっている。そのためバイデン政権下でビジネスがやりにくくなる可能性があります。ソフトバンクが米国で企業買収しようとしても、中国との距離の近さを警戒されて、米国政府から認可が下りないケースも十分に考えられます」(関氏)
日本との対立関係が続く「韓国」も“火種”となり得る。戦後75年が過ぎた今でも賠償問題はこじれ、徴用工問題に至っては、韓国の裁判所が三菱重工に対して同社の資産を差し押さえ現金化しようとする手続きを進めている。
「自民党内では“現金化された場合、直ちに韓国に制裁をすべき”との議論があるが、日韓関係の修復に積極的なバイデン氏が、日本政府に早期の和解を求める可能性もある。そうなれば徴用工訴訟に関係する日本企業が追い詰められることになりかねません」(ジャーナリスト・河鐘基氏)
米国の新たなリーダーは、一見して“穏健”なイメージが強い。だが、超大国を率いる強大な権力者である以上、一皮むけば表からは見えない“鋭い刃”が潜んでいる。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号