ニューヨーク証券取引所に上場するアリババグループの株価が急落している。12月24日、13時までの短縮取引となる中、株価は13.3%急落した。クリスマス休場を挟んだ週明け28日は下げ止まったものの、終値は前営業日比で0.16%高い222.36ドルに留まった。
過去最高値は10月27日の319.32ドルなので、株価は約2か月で30%も下落している。この間、NYダウ指数が11%上昇していることを考え合わせれば、“企業評価の根幹にかかわる下落”を疑う必要もありそうだ。
中国市場監督管理総局は24日、アリババ・グループが自社のプラットフォームを利用する業者に“アリババを選ぶか他社を選ぶか2つに1つだ”と迫る行為を常態化させていたとして、独占禁止法違反の容疑で立ち入り調査を行った。それ自体は1日で終わったのだが、これから押収された資料や、関係者への聞き取り調査の精査が行われる。最終的な判断が出るまでにはまだ少し時間がかかりそうだ。
創業者であるジャック・マー(馬雲)氏は10月24日、第2回外灘金融サミットにおいて、「良いイノベーションは監督管理を恐れない。ただし、昨日の(旧態依然とした)やり方で監督管理されるのを恐れる。列車の駅でやる管理方法で空港の管理をすべきではない。未来のゲームはイノベーションのゲームであり、監督管理技能のゲームではない」などと発言した。
この発言がきっかけとなり、支付宝(アリペイ)に関する業務を実質的にオペレーションする金融子会社アントフィナンシャルの上場が突如として延期され、そして今回の立ち入り調査が行われたとみられる。
たった1回の発言で当局の態度が厳しくなったというわけではない。これまでも、ジャック・マー氏は度々、当局の監督管理に不満を漏らしており、半ばそれに嫌気が差したことでアリババ・グループの会長を下りたと伝えるマスコミすらあった。当局からの“粛清”は、起こるべくして起こったともいえるかもしれない。
今回の一連の事件に関して、中国共産党の強権を否定的に伝える報道も少なくない。しかし、ジャック・マー氏の側に問題はないのだろうか。