日本でリリースされてから1か月が経とうとしているスマホゲームアプリ『ポケモンGO』。これまでリリースされたどの大ヒットゲーム作よりも最速でアプリランキング1位となり、同期間での過去最多ダウンロード数を更新するなど、かつて経験したことのないほどのムーブメントを生み出している。
このゲームがもたらした最大の功績は、人々に「拡張現実(AR~Augmented Reality System)」の世界を体験させ、認知させたことにあるだろう。「こんな世界があったのか」と思わせるには、『ポケモンGO』ほど有力なツールはなかったのではないか。
AR自体は2009年頃からネット企業や情報技術の世界では注目されていた技術で、すでにこれまでも色々なサービスが考案されている。それが『ポケモンGO』によってようやく世間の注目を集めるようになったわけだが、過去の新技術も誕生から普及までに一定の年月を要し、また象徴的な製品が普及に貢献してきている。
例えば、パーソナルコンピューターという概念自体は半世紀ほど前からあったが、実際には『Windows 95』の登場によって1995年より人々に広く普及しはじめた。また、モバイル、スマートフォン時代の幕開けは、2007年の「iPhone」登場がきっかけだった。当初、大手金融機関より「こんなものは売れない」などというレポートも出ていたが、フェイスブックが上場した2012年頃から本格的にスマホが普及しはじめた。その頃ようやく「モバイルを制するものはインターネット市場を制する」とも言われ出したのだ。今やモバイルはトレンドでなくなり、誰もが利用する空気のような存在となっている。