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森永卓郎 アベノミクス副作用で米国型弱肉強食社会化を懸念

経済アナリスト・森永卓郎氏は、「『アベノミクスは期待先行に過ぎない』との批判を尻目に、実体経済を動かしはじめ、日本経済は着実にデフレ脱却に向かっている」という。しかし、それだけでは終わらない。アベノミクスの「副作用」について、森永氏が解説する。

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アベノミクスには強烈な副作用が考えられる。特に、金融政策、財政出動に続く「3本目の矢」である成長戦略には日本経済を激震させかねない大きな危惧があります。この成長戦略の本質は、規制緩和・市場原理主義を徹底して、日本をアメリカのような弱肉強食社会へ向かわせるものにほかならないからです。

その典型といえそうなのがTPP(環太平洋経済連携協定)で、もし正式参加となれば日本の主張は認められず、日本の農業が崩壊するような関税撤廃に向かう可能性が非常に高い。

また、成長戦略の目玉として「アベノミクス戦略特区」構想を打ち出していますが、これも弱肉強食化を進める意図が見え見えなのです。東京、名古屋、大阪などの大都市圏だけに、法人税を減免する特区をつくることなどが骨子になった構想で、ただでさえ疲弊している地方にさらに追い討ちをかける、不公平この上ない政策です。

なぜ、そんなとんでもない政策を断行しようとしているのか。それを餌に、さらに外資を引きずり込みたいという戦略なのです。

戦略特区構想の中には、公共交通機関の24時間運行も盛り込まれています。これが実現すれば、労働者は終電を理由に仕事を切り上げることも許されず、止めどなくサービス残業をさせられかねません。

さらに、雇用面では、労働者移動支援助成金の拡充を打ち出す一方で、企業の解雇規制の緩和を画策している。これが意味するものは、政府は転職支援のセーフティネットを準備するので、企業は正社員でもバンバンクビを切っていい。つまり、アメリカ型の弱肉強食の仕組みにしたいということなのです。

※マネーポスト2013年夏号

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