上海総合指数の年初来高値は2月18日の3731.69ポイント。3月上旬に下げた後はレンジ相場となっている。翌週月曜日から水曜日までの3日間(5月3~5日)はメーデー休場となることもあり足元では軟調な地合いが続いており、4月27日の終値は3442.09ポイントで引けている。
そんな相場環境の中でも医薬品セクターが好調だ。細かくみると、PCR検査、医療機器、ワクチン関連などが買われている。日本の投資家でも買える銘柄(A株)では、PCR検査関連の上海科華生物工程(002022)、中山大学達安基因(002030)、ワクチン関連の長春高新技術産業(000661)などがしっかりとした値動きとなっている。
中国本土ではコロナ禍は過去のものとなりつつある。海外からの帰国者を中心に感染者は出ているものの、変異株の流行は抑えられており、局地的な流行もここ1~2か月間に限れば見当たらない。昨年12月から始まったワクチン接種の効果もあり、当局の管理は緩んでいる。
北京に住む知人はこの連休に親子4人で吉林省の実家に帰るそうだ。当局による移動制限は今回、まったくない。別の北京に住む知人は旅行には行かないそうだが、毎週末、北京市内の名所旧跡を巡っている。先日は韓国人が多く住む望京地区に行って来たというが、韓国料理を堪能する市民でレストランはどこもいっぱいだったそうだ。
およそ医薬品セクターが買われるような状況ではないのだが、市場関係者たちの話によれば、インドで新型コロナ患者が急増していることが材料視されているようだ。
インド政府は26日、1日あたりの新型コロナ感染者増加数が35万2991人、死亡者数が2812人に達したと発表、いずれも過去最高である。医療機器、医療用酸素が不足、医療崩壊が起きつつある。こうした状況で中国政府はインドに対して積極的に支援したい意向を示している。
現在、中国とインドとの間で、国境紛争が激化している。インドへの医療支援はその緊張緩和につながる。さらに、米中関係が緊迫化しており、アメリカ、日本、インド、オーストラリアは、バイデン大統領の呼びかけで、4か国の枠組み「クワッド」で中国包囲網を形成しようとしており、この枠組みの結束を弱めるといった効果も期待できよう。